ボクは忘れてしまって
いたようだ
苔むして朽ちはじめ
しかししっかりと大地を掴み
高い空をがっちりと支えている
長いこと待ったよ
からかうように
少し早口で話すキミの傍らで
間に合ってよかったよ
と応えた
気持ちを落ち着かせるため
乳飲み子を抱き抱えるように
やさしく丁寧にまぶたを閉じて
ゆっくり深い時の流れのなかを
泳ぐように呼吸をしてみた
その時ボクはボク自身と
はじめて出逢った気がした
そうなんだ!
ボクはキミだったんだね
一枚の写真~春の姿~
よく晴れた山のなか
春鳥の歌声に喜び満ちた森のなか
ぼんやりほんのり
やさしい煌めきを見つけた
ひと目惚れした瞬間のように
心がハッとなり
ご来光を拝んでいる間のように
静けさに包まれた
誰もいないこの場所で
誰に見られることなく
誰を喜ばせる訳でもなく
当たり前に繰り返される
春の姿
本当の生きる姿