案内人のPONCHOです。
今日は、8日(日)に行われた日本山岳耐久レース、通称『ハセツネ』とよばれる
トレイルランニングのレースに参加。東京・奥多摩の山中を71.5キロ、24時間以内の制限時間が設けられている、トレランをしている方なら、知らない人はいないレースについて書いてみます。
かれこれ15年程前からこのレースに出るようになり、今回、8度目の参加。
これまで7回完走。自己ベストは、10年程前に完走した時の15時間40分くらいです。
当時より走力、体力とも上がり、長時間動き続けるカラダの使い方、エネルギー補給のタイミングも上手くできるようになっていたので、今回は休むことなく動き続け、あわよくば15時間以内での完走を目指していましたが、約22キロ地点の第1関門の浅間峠でリタイアを宣言してレースを終えました。
第1関門に到着した時、過去7回と比較して、もっとも体力的に余裕があったのですが、装備している水の残量がわずか500mlとなってしまい、水分補給ができる第2関門までたどり着くことは、危険と判断してリタイアしました。
なぜ、第1関門で500mlしか水が残っていなかったのか?
または、なぜ第1関門までに3リットルも水を使ってしまったのか?
理由は明快です。
・25℃近くまで上がった気温。前日までの雨による湿度の高さ。森の中故にほぼ無風という蒸し暑い天候。
・水分を多く必要とするカラダを理解し、これまでのハセツネでは4リットル、暑さが予想されるときには4.5リットルほど装備していたのを、15時間以内の完走を意識して軽量化を重視し、3.5リットルに留めてしまったこと。
・暑さが予想されていたのに、水分を真水だけにして、スポーツドリンクをまったく装備しなかったこと。
・走力がアップしていたため、体力に余裕があり、まわりの早いペースに合わせられことがうれしくなってスピードを抑えられず、暑さを感じながらオーバーペースで走り続けたこと。
結果、脱水状態、軽い熱中症になり、その状態を走りながらわかっていながらも、装備している水が少ないので水分補給を最小限に抑え、結果的に大量に水分補給しないとカラダが動ない状態にまで無理をしてしまったのです。
水分補給のおかげで、カラダの調子は間もなく戻り、スピードもマイペースに戻せたのですが、水がなくなり・・・リタイア。
体調に合わせて、スピードを落としてカラダの様子を見ていれば、大量の水分を必要とする状態にはならなかったかもしれない・・・そう反省もしますが、完走よりもタイムに挑みたかったのです。
しかし、タイムではなく、カラダの声を聴くことを優先させなければいけませんでした。走力、体力アップを認識している自分の傲慢さが、レースに出る以上、なによりも許せないと思っているリタイアを招いたのです。
ハセツネというレースだけでなく、自然、天候、体調等が常に教えてくれているヒントを軽く考えてしまった、結果なのだと思います。
こういうワガママさは、自然のなかでは一歩間違うと『死』に直結します。
その点で、第1関門で判断を間違えず、リタイアしたこと、リタイアを決断できたことは、自分を見つめる客観性を取り戻せて、よかったと感じます。
走力、体力がアップしていたとしても、それをコントロールできる感受性を持っていなければ、自然のなかに入るべきではないということを学んだレースでした。