どこでも見られる
なんてことのない植物にも
物語はある
テリハクサトベラ
小笠原・父島を訪れた時
その植物はタバコの代用として
使われていたと聞いた
だからカイガンタバコとも呼ぶのだと
こんな話も聞いた
花びらが半分だけしか開いていない
少し切なさを覚える容姿から
『片思いの花』なのだと
半分ずつの花が合わさり
いつか両思いになれるように願うのだと
そんな話を聞いていたから
私にとってクサトベラは
少し特別な植物になっていた
しかしその後訪れた
沖縄でもグアムでも
当たり前にそこかしこに生えている
どこでも見られる
なんてことのない植物の代表だった
それよりも派手な南国花の方が
多くの人の心を魅了していた
さて今年
我が家にやって来たのは
クサトベラの仲間
青い花が半分開く
ブルーファンフラワー
ファン、つまり扇から名付けられたらしい
別名は末広草
その形は半分ではなく
末広がりなのだ
花言葉は『祝杯をあげる』
緑の葉のなかで片手を挙げるように
花が咲く姿が由来だという
どこでも見られる
なんてことのない植物にも
物語はある
特に普通とは少し違うと
多くの人間の想像力をかきたてるようだ