5月21日 小満
まさに五月晴れの午後3時に高尾山口駅前に集合。
参加してくれた皆さん、早く歩きだしたい思いが強いのか、ボクが到着した2時45分には、すでに全員集合。
観光地・高尾山は、予想通りに駅前から大混雑。でもこの時間がから登りはじめる人たちは少数派。登りをショート・カットするケーブルカーに乗車するのも、ほとんど待ち時間なし。標高201mの清滝駅から472mの高尾山駅まで、わずか6分!
高尾山駅から山頂広場までは薬王院を経由。奈良時代、西暦744年に行基菩薩によって開山された薬王院は、本尊として薬師如来が安置されたことから薬王院と称する真言宗のお寺。でも本堂や本社には本尊に飯縄大権現様が祀られている…鳥居もあるし…と不思議に思うけれど、江戸時代、そして明治時代に行われた神仏分離令以前は、寺院のなかに神社があるというのは、一般的だったそう。という訳で、看板に呟きながら持てと書いてある通り、「イイズナダイゴンゲン、イイズナダイゴンゲン」と呟きながら、社殿のなかで姿は見えないけれど大権現様と繋がっているらしい綱を掴んで、旅の無事をお祈り。
いくつもある茶屋で試食を頂き、「う~ん、ちょっと違う…」と繰り返し、 「高尾山は誘惑が多いね」 「山というより観光地だから…でもこの杉並木とか境内の中って、日没後にムササビが滑空するんですよ。ボクも何度か観察しに来たけれど、音もなく飛ぶ姿はカッコいいよ」 「えっ、じゃあ、帰りに見られる?」 「いや帰りは、別の登山道から下山します」 「残念~~!」 そんな他愛もない話をしながら、標高599mの山頂に到着。でも展望台からは楽しみにしていた富士山の姿は見えず。丹沢方面の山並みも霞んで潤んでいる。でもこれが春の姿。富士山を見たければ、もう一度、秋~冬にやってくればいい。
「さぁ、ここから先が奥高尾と呼ばれる場所で、もう観光客もいない、静かな山歩きができます! わずか30分ちょっとですが、頑張りましょう!」 前回の奈良倉山もそうだったけれども、メジャーな山=人の多い山は、参加した皆さん、あまり好みではないようで…しかしボクらちょい山CLUBも、人の少ない山が好きで、得意としているので、人の縁って不思議だなぁと思う訳で…。
陽も傾いてきた5時半頃、サンセット・ヨガを行う一丁平に到着。でも晴れ渡っていた空に少しずつ雲が広がり…予想していたよりもはるかに西側に太陽が沈み、サンセットは森の中へ…4月は目の前だったから大丈夫だと思ったのだけれど…想定がアマくてごめんなさい。
でも一丁平の展望台へと吹き上げてくる風は緑の香りと水の甘さをともなって心地よく、CHIKAKOがリードする45分のタオ・ヨガを行っている間、ウグイスが少しずつ距離を詰めてきて、最後にはすぐ近くまで近づいてきて、ボクらの動きに合わせるように、エネルギーを感じているかのように啼き続けた。ボクらも間もなく出てくるはずの満月のように丸い円の動きを繰り返すなかで自然のチカラを感じ、受け止め、それぞれが風にたなびく草木のように、しなやかなイキモノになった。 「気持ちよかった~」 「うん、気持ちよかった!」 「これ、経絡を意識した動きなんですね」 「そう、普段の生活のなかのいろいろで、詰まってしまった経絡を開く感じ。それで、自分のカラダなかにエネルギーを通しやすくするの」 「山の中だから、もうエネルギーがハンパない! 気持ちよすぎ」 参加してくれた方のなかにはヨガの先生もいて、タオ・ヨガという、まだ馴染みのないヨガの動きやパワーに興味を持ってくれたよう。それに、彼女たちは普段から自然のチカラを感じるカラダを作っているから、山の中で行うヨガの気持ちよさは、街で行うのとはまた違う次元だったよう!
ヨガを終えた後は、すぐ近くの東屋で持ってきたおにぎりやカップヌードルで、目に見えるエネルギー補給。 「山で食べると、本当になんでも美味しい」 「普段、カップヌードルなんて食べないのに、なんでこんなに美味しんだろ」 すでに暗闇が勢いを増してきたなかで、ヘッドライトを装着しながらご飯を食べて、そんな山の不思議を語り合う。
帰りは、ヘッドライトの灯りを頼りにナイト・トレッキング。本当は満月の明るさを感じるトレッキングになるはずだったけれど、残念ながら雲のなか…でもその分、暗さを感じてもらおうと、森のなかで全員のヘッドライトを消灯。 「うわ、ホントに真っ暗だ!」 「あっ、でも街の方の空は結構明るいよ」 「あれ、ヘッドライトが点かなくなっちゃた!」 「どれ、見てあげるよ…あれ、本当だ、点かない。一度、電池外してみる?」 「あっ、点いた。買ったばかりなのになんで?」 「不良品かもしれないから、交換してもらったら?」 「言ってみるけど、レシートも保証書も全部捨てちゃった…」
「あっ、見て見て。満月が出てきた!」 「すっごい、明るい」 「明るいし、キレイ!」 「こういうところで見る月って、すごいね。なんかパワー感じる」
ヘッドライトひとつで夜の山を歩くということで、もっとみんな怖がるのかなぁって思っていたけれど、5人で歩いていたから心強かったのか、みんな昼間となんにも変わらない雰囲気。もちろん足元が見えづらいので、一歩一歩確実に慎重に歩いていたから、ケガなく進めたのだけれども。
それとトレッキング・ポールは、バランスを取れ、リズムよく歩くのに、登山ビギナーにはやっぱりかなり有効だったみたい。
トレッキング・ポールを新たに手に入れたばかりの方、使ったことがなくレンタルした方に、途中で長さの調整の仕方や歩き方の注意点を話したのだけれども、あるとないとでは疲れ方がまったく違ったみたい。
それと30ℓの小型のバックパックを新調してきた方には、背負い方、ストラップの長さを調整してカラダにフィットさせる方法も伝えたのだけれど、ただなんとなく背負っていた時と、フィットさせた後では快適さがまるで違う! という声もあった。
今後もお買い物相談で購入した道具の使い方や、今持っている道具の不満を踏まえた改善点、新調する際のポイントなどをツアー・イベント中に解説していくので、どんどん質問してほしい。
今回の高尾山 サンセット・ヨガ&満月ナイト・トレッキング。タオ・ヨガは自分のまわりに広がる自然のエネルギー、自分の中に流れるエネルギーを感じられるもの。そしてナイト・トレッキングに限らず、山歩きもタオ・ヨガ同様に自分のまわりに広がる自然からのいろいろなメッセージを受け止め、感じ、自分のカラダが今どういう状態なのかを常にチェックし続けることで、安全に歩き、登り、下ることができるもの。
タオ・ヨガは動きながらの瞑想と称されるとCHIKAKOが教えてくれたけれど、山歩きも歩きながら一種の瞑想を行うものだとボクは感じている。
瞑想というのは、神を感じるという意味で解釈されて宗教ちっくに思われがちだけれども、それだけではなく、いやそれ以前に自分と自分のまわりにあるものを、感じて、想像するものなんだと思う。無の境地に辿りつく前に、有を想うことも大切なんじゃないか。キツい登りの時、「なんで、こんなことをしているんだろ?」って考えてしまうことがあるけれど、それって、自分自身を見つめて見つけるための、最初の疑問だし。
今回のヨガと山歩きでは、みんなと過ごす時間のなかで、そんなことをボクは知ったのだけれど、参加したみんなは、どんなことを発見したんだろう?
次回以降のツアー・イベントで、また会うのが楽しみ!
5月21日のツアー・イベント
http://cyoiyamaclub.hatenablog.com/entry/2016/03/28/010000
次回のツアー・イベント